ゾッとする話「宝くじ」(昔話その2)
結構寒くなってきたよね
いつも息子を遊びに連れて行く商業施設でも外に立ってると寒くて厳しい季節になったよ
昔話してみたらなんだかんだであんなことあったなーって思いだすもんだから
備忘録がてら
書いちゃおうかなぁとね
むかーしといっても10年ちょっとすぎくらいの話
当時俺は地元の田舎で就職しててね
本当政令指定都市でもなんでもない
電車バスは1時間待ち当たり前のど田舎
そんなとこでなーんとか就職してたのよ
大した娯楽もなくて
やる事といえば
ギャンブルやら
同僚と酒飲みに行くくらいだったわけよ
というよりも周りがそういうライフスタイルなもんだったからね
新社会人の俺なんかも引っ張られてそんな事ばっかやってお金を無駄にしたそんな日々だったわけ
当然飲みに行く場所だって限られてるし所詮舌の肥えてない若僧の俺らなんてチェーン店ばっかり行ってたんだよね
そんな中仕事の年数重ねてくうちに上司とも関係ができてきて、馴染みの店を教えてもらったりして選択肢がチェーン店ばっかりから個人経営の店とかにも顔出したりするようになってね
この話はそんな個人経営の居酒屋さんの話
当時俺らの職場の人間が行きつけにしてた店
そこのマスターてのが奇特?な人でね
俺らの同僚にそこの居酒屋の従業員の若い子を紹介してくれるっていうそんな人
俺もご相伴にあずかったり、あずからなかったり
とにかくそのマスターが話上手なもんだからよく行ってたんだよね、その店に
そんな折、ある日上司から
「お前あの店いってんだってな。」
って言われて何の気なしに「はいそうです」
って答えた
そのあとにマスターの事を色々聞かされたんだよね
昔めちゃくちゃやんちゃな人でそれこそその筋系の人だったとかじゃなかったとか
一緒に温泉行ったら背中に大きな絵が描いてあっただとか
「へーそうですか」くらいの感じで聞いた記憶だね、今思い返しても
そんな事聞いたからって「だから?」くらいにしか思ってなかったね
だってぼったくられるとかと無縁だし、何より楽しいし
今はマスターはいい人だったしね
そのあとも足繁く
暇があればその店に行ってたんだよね
一人で行く時もあれば、同僚と行く時もある
そんな感じでね
ある日マスターがだいぶ酔いが回った時に昔話を始めたんだよね
「昔ね、昔の話。当時田舎じゃ珍しいサパークラブ?要するにボーイズバーみたいなもんで働いててね。景気がよかったんだけどねー。段々悪くなっちゃってさ。そんなもんでさ、宝くじが当たってね。車買って都会の方に出たんだよねー。そんなこんなで20年くらいして帰って来たんだよ」
こんな感じの話し
俺も同僚も「へー」
ってうなづいて
「いーなー。宝くじなんて当たってみたいよなー」って
そんくらい羨ましがって終わり
そんなこんなで時が経って
そんな仕事もやめて
住むとこも変わって
別にだからってって話しで
前に話したけど現場仕事してたのよね一時期
前も言ったように現場ってアウトローさんだったり
元アウトローさんが多いのよ
そんな人らとも交流はあってね
そりゃ仕事っつっても出張すりゃ飯も食うし、同じ宿に泊まるしね
全く話さないなんてわけにもいかないし
そんな中でさ
ひいては元アウトローの人たちって
なんでか分かってなかったんだけど…
宝くじに当たった人がやたらめったら多くってね(笑)
だからさ
俺聞いてみたのよ
ある「元」の人にね
「〇〇さん含めてアウトローの人って宝くじよく当たってるんですよねぇ…笑。みんな天運持ってんですかね?(笑)」
みたいな感じでね
さしたらさその「元」さん
急に険しい顔してね
そしたらニッコリ笑顔に戻ってね
「知らなくていい事はいっぱいあるんよ世の中。特にウーみたいな若い衆はね(笑)」
と味気なく返されたのよ
酒も入ってたもんで俺も粘ってね
どうやったら宝くじ当てられんのか?
もしかして裏ネットワークで情報をもらってんでないのか?
とか若さにかまけて訳分からん質問攻めした記憶(笑)
そしたらめんどくさそうに「元」さんが口開いたのよ
まーここまで来れば大体検討つくと思うけどね
「宝くじってのはワシら界隈の隠語じゃ。要するに色々脛に傷が付く形のシノギ方した時の方便。」
まーここまで来りゃ大体青二才の俺でも察しついた訳で
「さすがに人〇したりとかってあったりするんですか?」
なんとなく酒の勢いもあったけど興味本位でその時はそう聞いたんだよね(笑)
したら「元」さん
「そんなもん聞くまでもないやろ。」
とマジキチスマイル
……ゾッとしたねあん時は(笑)
そんで俺はそん時その居酒屋のマスターを思い出した訳よ
まーそれでも「元」さん含む色んな界隈の人にあとあと詳しく聞けばヒットマンが王道ではあるけど、組織の金持ち逃げしたパターンやら、「スジ」ってもんを通さなかった(一般人には分かりづらいけど、ご法度な組でクスリ売っただの、上納金上げるべき額持ってこず蓄財しただの)ってのもあるって知ったんだけどさ
それでも…なんかね…(笑)
マスターが何したかは知らないけどね実際本当に
ただマスターは「宝くじ」には当たってる訳よ
まーゾッとしたよ実際
「元」さんとは割りかし何度か現場がかぶってね
仕事終わりやら、出張の現場終わりやら
それこそよく飯食ったり飲みに行ったりしたのよね、その後もね
しかしずっとおんなじ現場って訳じゃないし
そろそろ現場も終わるし、会わなくなんだろなーってタイミングでまた飲みに行ってメシ食って
なーんも普通にいつかまたどこかでという挨拶交わすだけの一期一会
それ以来「元」さんとは会ったことないしね
「元」さん
飯食いに行ったり、飲みに行ったら
毎回のように言ってた
「世の中には知らんでええ事がいっぱいあるんで。ウー」
知らない事は知らない方がいい事って世の中あるよ
俺は本当にそう思う(笑)